IGS NEWS 抄訳
VOL.15, NO.1, MAR.1999

(室蘭工業大学工学部/木幡行宏)

IGS教育委員会:目的はIGSに役立つこと(p.1〜2) IGS教育委員会Paul委員長
 教育委員会の主な目的は、学生から専門家にまで渡る広い層に対して、ジオシンセティックスに関するあらゆる研究成果や情報を収集し、提供することにある。現在、教育委員会では以下の事業を行っている。

・ビデオ
 IGSでは教育ビデオとして、これまで「ジオシンセティックス−交通施設への適用−」と「盛土のジオシンセティックス」の2本のビデオを製作した。現在、3本目のビデオとして「補強のジオシンセティックス」を製作中である。この事業に対して、フィルム、スライドあるいはビデオといったようなビデオ編集の素材の提供をお願いしている。また、寄付も歓迎している、詳細はIGS事務局に連絡してください(p.12)。このビデオは実務者にとって最も役立つであろう。
ジオシンセティックスに関する科目を教えている教育者やIGS支部から推薦された方々については、IGSビデオのコピーを無料で利用できる。

・米国運輸局、FHWAコースのノート:ジオシンセティックス設計・施工指針
 米国高速道路研究所では、IGS国際教育プログラムにおいてIGS支部に有益な上記コースによるノートを作成した。これは、道路や舗装、斜面補強、補強土壁、浸食制御システム、表層の排水やジオシンセティックスによる遮水を含むジオシンセティックスの広範囲な適用を包含している。各々の適用において、ジオシンセティックスを用いて解決し得る問題と耐久性、施工方法や費用効果と同様に取り扱われる設計思想を考察している。ノートのコピーは、本年、支部に郵送される。

・ミニ講座
 ジオシンセティックスの適用について、1セット約20のミニ講座を準備中である。ミニ講座はCD-ROMに納められ、スライドや図面で重要なポイントを明らかにするテキスト付きの一連の画像から成っている。現在、テキストの作成と用いられる画像の確認のために多くの著者が作業中である。それぞれのミニ講座は、国際的な3人の査読者によって査読される。査読者の使命は、技術的内容を吟味し、ある地域や成果の偏りを避け、用語やテーマを国際的なものとすることにある。この作業は、多くのIGS会員のご協力による大変な作業であるが、1999年末にはパッケージとして完成させたい。

・アジアの事業
 アジア事業委員会では、セミナーや地域的ケーススタディの収集の準備を含めた教育項目の地域プログラムを行っている。教育委員会に対してご意見、ご要望、あるいは新たな提案がある場合には、ぜひ、委員長か委員に連絡してください(訳者注:日本の委員は赤木先生(東洋大学))。

Brain Mercer博士 ご逝去(p.2)
 マーサー博士が、1998年11月に70歳で他界された。博士は、1950年代にネトロンプロセスを発明した。それは、プラスティックが一段階でネット状に押し出されるものであり、その技術的業績に対して女王賞が与えられた。プロセスの製品は、今日、梱包、農業、園芸および工業用途に見られるように種々多様な領域で用いられている。ネトロンプロセスは多くの国々で国際的な企業にライセンスされた。博士は、1978年に材料学会の特別会員となり、同年、バッキンガム宮殿で催された授与式でフィリップ王子賞を授与された。1981年には大英帝国勲章を授与され、1984年に英国学士院特別会員になった。マーサー博士は、1970年代後半から1980年代前半にかけて、テンサージオグリッドを開発した。それは、特に、安定処理と補強を行うためのもであり、建設業で用いられるように設計したものである。テンサージオグリッドは、現在、広範囲な補強土への適用において世界中で用いられている。

IGSブラジル支部からのニュース
・ジオシンセティックスセミナー、Curitiba, Brazil
 ジオシンセティックスの適用に関するセミナーが、1998年8月13〜14日にブラジル、パラナ州、カリチバにおいて行われた。カリチバ市でのジオシンセティックスを用いたいくつかの工事現場の見学とジオシンセティックス適用に対するソフトウェアーの発表を含めて200人を越える参加者があった。
・土質力学および地盤工学に関する第11回ブラジル会議のジオシンセティックスセッションにおける報告
 土質力学および地盤工学に関する第11回ブラジル会議、1998年11月5〜10日、ブラジルのブラジリア市において開催中、地盤工学におけるブラジルの国内会議としては初めて、ジオシンセティックスに関するセッションが開催された。本会議は、4年に1度、ブラジル地盤工学会によってブラジル国内の異なる都市で開催される。今回は、506人の参加者があり、ジオシンセティックスに関する80編の論文が査読後に選ばれ、プロシーディングスに掲載された。本セッションの基調講演は、IGS会長のBathurst教授および本会議の組織委員会委員長であるブラジル大学のPalmeira博士が行った。
・次回のジオシンセティックスに関する小講座
 ブラジル支部主催で、1999年4月、ポルトアレグレ市(Porto Alegre)において、1999年10月、リオデジャネイロ市(第3回ブラジルジオシンセティックスシンポジウム)においてジオシンセティックスに関する2つの小講座が開催される。
・第3回ブラジルジオシンセティックスシンポジウム「ジオシンセティコ'99」および第1回南米ジオシンセティックスシンポジウム
 本会議は、1999年10月27〜29日にリオデジャネイロにて開催される。

1996〜99年IGS賞の公募 推薦期限は1999年10月1日(pp.3〜4)
 前回のIGSニュースでも募集したが、2000年のIGS賞表彰に向けて、再び応募をつのる。1996年から1999年の4年間の、ジオテキスタイル、ジオメンブレン等に関する、個人またはグループのすぐれた研究業績の応募を受け付ける。IGS奨励賞は今年末に36歳未満である者が対象となり、IGS賞は年齢に関係なく応募できるが、グループは4名以下で1人以上がIGS会員であることが条件である。推薦は、自薦、他薦何れでもよく、委員会や支部でもよい。推薦期限は、1999年10月1日、審査のための資料提出は、同年12月1日までである。表彰委員会は会長が指名する5名の委員で構成される。詳細はIGS事務局まで。

IGS西太平洋地域支部活動報告
 1998年に新組織として発足した支部の最初の活動は支部の創立であった。1998年にジオシンセティックスに関する中国国内基準が提案され,1999年に承認される予定である。重要な特色は、'ジオシンセティックス准会員'(Geosynthetics Associates)の導入である。これは1999年に始める予定である。

ASTM、ジオシンセティックスグリップシンポジウムを開催
 ASTMのジオシンセティックスに関する委員会D35は、”ジオシンセティックス試験によるグリップ、クランプ、クランピング技術およびひずみ測定”("Grips, Clamps, Clamping Techniques and Strain Measurement for Testing Geosynthetics)に関するシンポジウムを、1999年1月28日、米国、メンフィス市、Peabody Hotelにて開催した。15の論文発表、参加者は約100名であった。土のジオシンセティックス試験法と引張り試験法の2つの中心テーマが持ち上がった。

2000〜2004年IGS理事候補の公募 申請期限は2000年1月31日(p.5)
 IGSの内規では、2年ごとに理事の半数の公選を規定している。郵送無記名投票による選挙は、4年の任期満了の理事を対象として2000年5月に行われ、新理事は2000年7月から就任する。以下の8名の理事が2000年6月に任期満了となる。
 赤木理事(日本)、Christopher理事(米国)、Chung理事(韓国)、Lawson理事(マレーシア)、Lafleur理事(カナダ)、Paul理事(英国)、Scuero理事(イタリア)、Varma理事(インド)
 IGSの内規では、Bathurst教授とCazzuffi氏は、それぞれ会長、副会長であるので自動的に理事会メンバーとなる。彼らは2000年に再選のための立候補はしない。さらに、内規では2期連続で理事を勤めてよいことを規定している。今回は、Chung理事、Lafleur理事、Paul理事、Scuero理事、Varma理事が該当する。
 選ばれるのは8人の理事メンバーである。IGSの内規に基づいて、IGS会員のみが理事の資格を有する。候補者は、年1回開催される理事会に出席可能でなければならない。理事会は、通常、国際会議と地域会議の際に同時に開催される。次回の理事会は、新理事メンバー選出後、2000年10月15〜18日に、イタリア、ボローニャにて開催される第2回ヨーロッパ ジオシンセティックス会議(EuroGeo 2)の際に行われる。その後、3回の理事会は、2004年の任期満了まで同じ理事メンバーで開催される。一般的には、この理事会はアジア、ヨーロッパ、北米で行われる。履歴(12行以下)とともに署名された申請書を、2000年1月31日までにIGS事務局に届けられたい。すべての候補者に対して公平に発表する場を持つために、候補者は12行を厳密に守ってください。12行以内の履歴は、IGSニュース2000年3月号に掲載されるとともに、インターネットIGSホームページに掲載され、郵送無記名投票用紙とともにIGS会員に送られる。
 さらなる情報が必要な会員は、IGS セクレタリー、あるいは会長に連絡されたし。

CEN TC288/WG9−補強土 の会合
 補強土の施工法に関するヨーロッパ標準を検討するCENの技術委員会288、ワーキンググループ9が1998年9月17〜18日にミラノで開かれた。作業の対象は、地山補強と補強盛土、addresses walls、橋台、急勾配斜面および軟弱地盤上の盛土である。ワーキンググループは、有資格国から地山補強と補強盛土の専門家、それぞれ1名からなる多国籍の代表者を有する。WG9では、参加国の国内検討委員会で検討される基準の原案を作成した。修正案は、1999年の12月までに、プレ ヨーロッパ標準の最終案を完成させるためにWG9によって発表される。2000年の初めには、プレ ヨーロッパ標準が親の技術委員会TC288を通過し、公示される。必要な修正後、プレENは、正式なヨーロッパ標準としての採用を無記名投票される。

米国交通研究委員会におけるジオシンセティックス
 米国交通研究委員会の年次大会が1999年1月初旬、ワシントンDCで開催され、いくつかのジオシンセティックスに関する話題があった。印刷された講演発表の論文はないが、多くの興味深い問題が検討された。ジオシンセティックスのセッションが2つ行われた。1つは耐久性に関するA2K07委員会が後援する”ジオシンセティックスの長期設計強度の決定”であり、もうひとつは、”舗装におけるジオシンセティックス:25年間の適用”であった。
IGS公式誌 "Geotextiles and Geomenbranes"(p.6)
 "Geotextiles and Geomenbranes"、16巻6号は1998年11月に、17巻1号は1999年2月に発送された。17巻の残りの号では、特別編集者をLafleur博士として濾過作用を特集する。18巻は、特別編集者をBouazza博士としてGCLを特集する。IGS会員には割引があるので、既刊誌を購読希望の方または法人は、会員であることを申し出られたい。

最近発刊された"Geotextiles and Geomenbranes"の目次紹介(p.7)
 第16巻 5号 1998年、第16巻4号 1998年、第16巻3号 1998年、第16巻2号 1998年

IGS公式誌 "Geosynthetics International"(p.7)
 "Geosynthetics International"は、ジオシンセティックスに関する最初の専門誌である。ジオシンセティックスの材料に関する事柄、施工方法や技術、実験室内あるいは現場での効果の評価や分析等々についての、論文、研究報告、論説や書評などが掲載される。経験豊かな編集長(Dr. T.S. Ingold)、副編集長(Prof. R. J. Bathurst)のもとに、優秀な専門家が4年人気で選ばれ、編集委員会を構成している。過去2年間に750編以上の発表があったが、主な特集として、「ジオメンブレン適用の設計」、ジオシンセティックス・ライナー・システムによる液体移動管理」、「地震工学におけるジオシンセティックス」があげられる。IGS個人会員、教育機関には、購読料を割引きしている。

最近発刊された"Geosynthetics International"の目次紹介(p.8)
 第5巻 6号 1998年、第5巻 5号 1998年

「ジオシンセティックス‘99」4月28〜30日 ボストンにて開催(p.8)
 今年、4月28〜30日 米国ボストン市ワールド・トレード・センターにて開催されるジオシンセティックス'99は、参加2000人、125の展示を予定している。

会社紹介
 IGSの法人会員は、IGSニュースの会社紹介に発表することを奨励される。IGSニュースの各号に3社まで掲載される。会社紹介の綱領と投稿に対する規定は、セクレタリー、編集者、IGSのウェブサイトあるいはIGSニュースの第4巻、2号、7頁に問い合わせあるいは参照してください。会社紹介の掲載に関する費用は無料で、これは法人会員の特典である。

会社紹介 JUTA a.s., Dvur Kralove(p.9)
 1885年まで遡る歴史を有するJUTAは、ドイツ、オーストリア、ポーランド、スロバキアに国境を接するヨーロッパの心臓部、チェコにある。1990年代の初め、JUTAは、従来の織物の繊維(ジュート、亜麻、麻)からポリプロピレン、ポリエチレンの顆粒に変えることによって旧式の製造工程を変革した。今日、JUTAは、HDPE(LDPE, PP)ジオメンブレン、織布・不織布のジオテキスタイル、織物、background coverなど、広範囲のポリプロピレン、ポリエチレンによる製品を製造するチェコを代表する製造業者である。

予定されている国際会議(p.10)
・第11回地盤工学アジア地域会議:
 International Society for Soil Mechanics and Geotechnical Engineering 11th Asian Regional Conference
 Seoul, Korea, 16-20, Aug, 1999
・第7回廃棄物マネジメントおよびランドフィルに関する国際シンポジウム:
 Sardina 99-7th International Waste Management and Landfill Symposium
 Cagliari, Italy, 4-8, Oct. 1999.
・第3回ブラジルジオシンセティックスシンポジウム/第1回南米ジオシンセティックスシンポジウム:
 3rd Brazilian Symposium on Geosynthetics / 1st South American Symposium on Geosynthetics
 Rio de Janeiro, Brazil, 20-22,Oct. 1999
・第2回欧州ジオシンセティックス会議と展示会: EuroGeo-2
 Second European Geosynthetics Conference and Exhibition,Bologna, Italy,15-18, Oct. 2000
・GeoEng 2000
 Melbourne, Australia, 14-19,Nov, 2000
・第7回国際ジオシンセティックス会議: 7th International Conference Geosynthetics
 Nice, France, 22-27, Sep. 2002