ジオテキスタイル技術委員会 第7ステージ

1. 委員会の内容
 現在の科学技術力では,地震,降雨,出水などの自然外力の発生を高精度に予測することは不可能であり,自然外力の発生予測には大きな不確定性が伴う.そのため,常に設定された再現期間を超える外力が発生する可能性があり,その可能性を考慮して安全対策を万全にすることが重要となる.具体的には,設計外力を上回る外力が構造物に作用した場合のリスクを「残余のリスク」として,「残余のリスク」を合理的に小さくするための努力を払うことが求められている.「残余のリスク」の定量的評価には,決定論的手法に基づいた確率論的手法が有効である.これまで構造物の安全性の検討において,決定論的手法と確率論的手法はそれぞれ独立に検討されてきたが,両者の間にフィードバックの関係を成立させることにより,構造物の安全性をより合理的に評価できる.これらを鑑み、ジオテキスタイル技術委員会では、ジオテキスタイル補強土構造物の残余のリスクを把握することを目的として検討を実施した.


2. 活動期間
 2016年~2019年

3. 活動・成果概要報告
 補強土壁の確率論的評価は,地震時によるものがほとんどであり,降雨時の確率論的評価は実施されていない.本検討では,降雨ハザードを用いた地震時の補強土壁の確率論的リスク評価を実施した.降雨ハザードは,日降水量の最新のアメダスデータを用いて求めた.地震作用は確定値として水平震度を与えた.補強土壁のフラジリティは,地盤強度定数を正規分布に従う確率変数として,背面水位を与えてモンテカルロカルロシミュレーションにより求めた.得られた降雨ハザードとフラジリティを用いて,地震・降雨時における補強土壁の損傷頻度を求めた.得られた損傷頻度から,背面水位の上昇に伴い,補強土壁の損傷する確率が高まることを定量的に示すことができた.
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4. 委員



update:2021/11/8